ライトトローリング
2.サワラを釣る
■関西はサワラ釣りの本場
季節は4月からゴールデンウィークの頃、紀伊水道ではカツオがどんどん釣れているときです。1メートル前後の大きなサワラ(本鰭)は、大阪湾や瀬戸内海に産卵のためにやってきます。
関西ではモバコ、サゴシ、ヤナギ、サワラと名前の変わる出世魚です。9月頃からサゴシ(60センチくらいのもの)がよく釣れだし、秋も深まるとヤナギ(80センチくらいのもの)、サワラ(1メートル近いもの)が釣れ、冬になると外洋の深場へと下っていきます。
余談になりますが、関西のプレジャーボートのオーナーの方たちにとって、このサワラ仕掛けは、20年以上前から非常に馴染みの深い仕掛けです。当時プレジャーボートは20~25フィートクラスのものが主流で、ガソリン艇がほとんどでした。各マリーナでもやっとフィッシングクラブができだしたころです。
大阪府高石市にある高石マリーナに肥子(ひこ)さんというハーバーマスターがいました(現在も活躍されています)。肥子さんは元漁師で、このサワラ仕掛けを高石マリーナフィッシングクラブのオーナーたちに普及させました。当時関西のプレジャーボートのオーナーたちはサワラ釣りについては、高石マリーナフィッシングクラブのオーナーの方たちにはかなわなかったのです。
肥子さんのおかげで釣る喜びを知ったフィッシングクラブのオーナーの方たちは、今も活発な活動をされています。それから勝浦ビルフィッシュトーナメント等を経て、ボートもどんどん大きくなり、その当時のフィッシングクラブの面々も、ほとんどの方が現在はビッグゲームの世界でも活躍されています。
■重要な長さと重さ
仕掛けは、図にありますように3本、センターリガーがなければ左右の2本でOKです。左右互い違いにグミの量で深さを変え、長さも少しずらします。これは対象魚の泳層を探ることとお互いの仕掛けがオマツリしないようにするためです。
ツバメ型の潜行板は左右には振らず、まっすぐに曳かれていきます。この潜行板はグミの量が少なくても仕掛けを沈める効果があります。仕掛けの寸法は図に示したとおりですが、この場合グミのミキイトは40号に3匁のグミが20センチ間隔に15メートル(10ヒロ)と、もう一方は30メートル(20ヒロ)です。
1匁は3.75グラムですから、3匁で11.25グラム。15メートルのグミ糸に20センチ間隔で3匁のグミが75個、合計で844グラムになります。もう一方の30メートルは倍の1688グラムになります。サワラ仕掛けでは、500グラムから1800グラムくらいまでグミ糸を使うのが一般的です。
市販のグミ糸は、40号くらいから80号くらいのミキイトのテグスに1匁から5匁くらいまでの各種のグミを加工したもので、20センチ間隔と15センチ山間隔のものがあります。
グミ仕掛けを作るときは自分が作ろうとする仕掛けの全体の長さとオモリの量を考えて、作らなければなりません。たとえば100メートル以上のグミ糸を使う場合、手元になるほどミキイトを太くしなければなりません。50メートルほど80号のミキイトでその先は60号を30メートル、その先40号を30メートルといった具合です。100メートル以上のグミ糸を扱うのは慣れた漁師さんでも容易なことではありません。できるだけ少ないグミ糸と潜行板等の併用で工夫をするべきだと思います。
■ポイントによって変わるルアーと曳き
グミ曳きの仕掛けを使うときの最大の問題点はルアーの選定です。「トローリング入門」の「曳き縄釣り仕掛け」の項で紹介しました「バクダン仕掛け」とは正反対に、グミ糸やツバメ型の潜行板自身にはこれといったアクションはありません。そのためにルアー自身にアクションのあるものを使わなければなりません。それは、テンテンというプラスチック製のツノや、弓角等です。今回はパールに背がピンクや赤筋の入ったもので、できるだけテンテンがくるくると回転しやすいように、リーダーも細めで18号までのものを2ヒロ、そしてスイベルを必ず入れます。このテンテンは大阪湾では最強のルアーです。
この仕掛けの全長は、アウトリガー用で29ヒロ(43.5メートル)、もう片方は39ヒロ(58.5メートル)、センターリガー42ヒロ(63メートル)となり、これはタカヤマから先の寸法です。
この仕掛けを使うにあたって絶対にしてはならないことが1つあります。それはボートを停止することです。ボートを止めると水深によっては仕掛けが海底を引っかけます。秋のサゴシからサワラを釣るには、この図のとおりの寸法でよいのですが、春の大きなサワラを釣るにはグミの量を倍ぐらいに増やし、ミキイトも10ヒロほど長くして深場を探ります。
船速は5~6ノットくらい。テンテンを曳くときはくるくると回転をよくするために少し早めに曳きます。深場を狙うときは弓角などを使い船速も少しゆっくりめに曳きます。大阪湾の場合はほとんどの所が水深20メートルくらいで、深い所はごく限られています。常に船速と水深を考えて仕掛けを傷めないように曳きましょう。
秋にはこの仕掛けでサワラやタチウオなどもよくヒットします。ポイントは沿岸域の水深20メートル前後の沈み磯の多い付近です。サワラのポイントは外洋とは違って内湾になります。まず水色は濁り潮の方がよく、澄み潮はあまり期待できません。内湾の海底は砂や泥の平坦な形が多いので、ポイントとなる所は海底に起伏のある所、たとえば沈船や沈み磯、航路の澪筋などで、航路ブイなどの海中建造物の付近、大きな川の河口付近、それに伴う潮目、停泊中の大型船の周り。朝夕のマヅメ時、潮変わりの前後などです。
